無料プレゼントでは返ってこない。返報性の原理が効く相手の条件

どーも。集客参謀のサイトウです。

商談の60分を、まるまる自社サービスの説明に使う。
これ、業界では当たり前のことになっています。

でも、この時間の使い方をしている限り、受注率は上がりません。

理由は1つです。
その60分のあいだ、相手は何ひとつ受け取っていないからです。

ビジネスの世界には、与える人(ギバー)と、奪う人(テイカー)がいるといわれます。
説明だけで終わる商談は、相手の60分を奪っただけのテイカーです。

先に与えると、返ってくる。
これはマーケティングの原則として、昔から語られてきたことです。

一番知られているのが、影響力の武器で紹介された返報性の原理でしょう。

今回は、この返報性の原理をどうマーケティングに活かすのかをお伝えします。
ただし、ほとんどの人が見落としている条件を1つ添えて。

目次

返報性の原理とは?

返報性の原理とは、「人は何かをしてもらったら、返したくなってしまう」という原理原則です。

これは本能的なものです。
人類が何千年、何万年の歴史の中で獲得した「生存本能」なのでしょう。

先日、こんなことがありました。

帰宅したとき、1歳の娘を玄関に座らせて、自転車のカゴの荷物を取りに行ったのです。
その数十秒のあいだに、娘が家の鍵をかけてしまいました。

玄関の鍵は、すでに家の中に置いていました。
完全に閉め出されたのです。

どうしようもなく、隣の家の方に頭を下げました。
地続きになっている庭の塀をよじ登らせてもらい、幸い開いていた窓から家に入ることができたのです。

当然、隣の方には頭が上がりません。
後日、菓子折りを持ってお礼に伺いました。

まさにこれが、返報性の原理です。

「してもらって当然」ではない。
社会的な生き物である私たちは、ついつい「お返し」をしたくなる本能を持っているのです。

なぜ、先に与えると売れるのか

先に渡すと、買う人が増えます。しかも、数字が出ています。

影響力の武器には、さまざまな実験が紹介されています。

例えば、アメリカのキャンディーショップ。
入り口でお客さんにキャンディーを1つ渡すと、何かを購入したお客さんの割合が、渡さないときに比べて42%増えました。

商品は1つも変えていません。
店の場所も、値段も、品揃えも同じです。変えたのは、入り口でキャンディーを1つ渡したことだけ。

コンビニでトイレを借りて、申し訳ないから何かお菓子を買って出た。
そんな経験、ありますよね。

これも返報性の原理です。

影響力の武器は、返報性の原理には3つの要素があると書いています。

  • 非常に強く働く
  • 望みもしない厚意を最初に相手から受けた場合にも適用される
  • 不公平な交換になる

この3つは、バラバラの性質ではありません。
3つセットで、1つの結論になります。

非常に強く働くから、効く。
望んでいない厚意でも働くから、頼まれる前に渡していい。
そして交換は不公平になる。小さく渡したほうが、渡した側に大きく返ってくるのです。

ただし、2つ目には条件があります。

望んでいない厚意でも働く。
それは、お返しをする相手が「人」として見えている場合の話です。

この条件が、次の章のすべてです。

それでも、無料プレゼントで返ってこない理由

与えれば何でも返ってくる、というわけではありません。

では、実際にどう返報性の原理を自社の売上アップに活かせばいいのか。

ここで多くの企業がやるのが、無料プレゼントです。
LINEに登録してくれた人に、特典をたくさん配る。

でも、思い出してみてください。
たくさんプレゼントを配っている企業に対して、「お返しをしたい」という気持ちを抱いたことがあるでしょうか。

ほとんどないはずです。

一方で、毎日顔を合わせる優しい上司の誕生日に、何かプレゼントしたい。
この感情なら、すぐに想像がつくはずです。

では、返報性を強く働かせている因子は何でしょうか。

渡したものの量。
違います。

渡したものの金額。
これも違います。

付き合いの長さ。
関係ありません。

冒頭の、隣の家の方の話を思い出してください。
私はあの方と、深い付き合いがあったわけではありません。すれ違えば挨拶をする、それだけの関係です。

キャンディーショップの店員に至っては、名前も知りません。
それでも返報性は働いています。

つまり、関係値は必要ないのです。
初対面でも働きます。

必要なのは、お返しをする相手が「人」として立っていること。それだけです。

LINEの特典で何も返ってこないのは、配る量が多いからではありません。
お返しをする相手が「企業」という、顔の見えないものだからです。

返報性の原理を決めるのは、何を渡したかではありません。

お返しをする相手が、誰なのかです。

では、中小企業は何をすればいいのか。

無料プレゼントやコンテンツを配ること自体は、間違っていません。
むしろ、やるべきです。

変えるのは、配る中身ではなく、名義です。

企業の名前で配るのをやめて、人の名前と顔で配る。
それだけで、同じものが返ってくるものに変わります。

会う必要はありません。
オンライン上でも、顔と名前を知ってもらえていればいい。

書いた人の名前を出す。顔を出す。
「株式会社◯◯より」ではなく「株式会社◯◯の△△です」で渡す。

これが、返報性を働かせる最低条件です。

商談は、与える場である

そして、この条件が最も強く揃う場が商談です。

よく勘違いされているのが、この商談です。
商談を自社のサービスを説明する時間だと定義している担当者は、とても多い。

でも、それは全くの逆効果です。

顧客はあなたの商品・サービスに興味があるわけではありません。
自社(自分)の課題が解決するかどうかが知りたいのです。

このあたりは商品説明を書き直しても、問い合わせが増えない理由にも書きました。

だから、自分の商品の話をする人は売れません。

商談は、説明する場ではなく、与える場です。

では、何を渡すのか。

決まったものを用意しているわけではありません。
問い合わせの内容を読んで、その相談に合わせて用意します。

例えばWEB制作の会社であれば、商談相手のサイトを診断して渡す。
それは相手にとって、有益な情報です。

そこまでしっかり考えてくれたのか、ありがたい。
そういう感情を、相手に抱かせることができるのです。

大げさなものである必要はありません。
投影する資料を作る。自己紹介の資料を用意する。それだけでも、何も持たずに臨む商談とは変わります。

「では、どこまで無料で渡すのですか」

これは必ず聞かれます。
私の線引きは、実務が発生するかどうかです。

見て、読んで、考えて、答える。ここまでは渡します。
手を動かす作業が始まったら、そこからは仕事です。

この線を自分で決めておかないと、与えることがただの消耗に変わります。

最後に、私自身が完全にやられた話をします。

正直、あまり乗り気ではない案件がありました。
条件も内容も、どうかなと思っていたのです。

ところが打ち合わせの日、お昼ご飯をご馳走になってしまいました。

それだけです。
それだけで、私はその案件に対してやる気になってしまったのです。

冷静に考えれば、ランチ1回で仕事の判断が変わるはずがありません。
でも、変わりました。

これが返報性の原理の強さです。
小さく渡したほうが、大きく返ってくる。3つ目の要素そのものでした。

そもそも集客がうまくいっていないという段階であれば、集客が最重要である理由から読んでみてください。

冒頭の話に戻ります。

商談の60分をまるまる説明に使う人は、相手の時間を奪っただけのテイカーです。
その60分で、相手に何か1つでも渡せた人がギバーです。

そして返報性の原理が正しいなら、返ってくるのは後者だけなのです。

よくある質問

返報性の原理とは何ですか?

「人は何かをしてもらったら、返したくなってしまう」という原理原則です。

社会的な生き物である人間が持っている本能的なもので、影響力の武器の中では、非常に強く働くこと、望んでいない厚意にも適用されること、不公平な交換になることの3つが挙げられています。

無料プレゼントを配っても、反応がないのはなぜですか?

配る量が少ないからではなく、お返しをする相手が「企業」という顔の見えないものになっているからです。

返報性は、お返しをする相手が人として見えているときに働きます。企業名義でバラまいている限り、受け取った側に返す相手が存在しません。

返報性の原理は、関係が浅い相手にも働きますか?

働きます。関係の深さは条件ではありません。

挨拶をする程度の隣人でも、名前も知らない店員でも返報性は働きます。初対面の商談でも同じです。必要なのは、渡す側が人として見えていることだけです。

中小企業は、返報性の原理をどう活かせばいいですか?

無料プレゼントやコンテンツを配ること自体は続けて構いません。変えるのは配る中身ではなく、名義です。

企業の名前で配るのをやめて、人の名前と顔で配ります。会う必要はなく、オンライン上で顔と名前を知ってもらえていれば成立します。

商談では、何を渡せばいいですか?

決まったものを用意するのではなく、問い合わせの内容に合わせて用意します。

WEB制作の会社であれば、商談相手のサイトを診断して渡す。大げさなものである必要はなく、投影する資料や自己紹介の資料を準備するだけでも、何も持たずに臨む商談とは変わります。

無料で渡す範囲は、どこまでにすべきですか?

実務が発生するかどうかが線引きになります。

見て、読んで、考えて、答えるところまでは渡します。手を動かす作業が始まったら、そこからは仕事です。この線を自分で決めておかないと、与えることがただの消耗に変わります。


自社の商談で、相手に何を渡せばいいのかが決まらない。

そういうときは、一度無料診断をご利用ください

いただいた内容に合わせて、その場で見立てをお渡ししています。

売り込みの時間にはしません。

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この記事を書いた人

Honomuki株式会社 代表。上場企業でマーケティングの1人目として立ち上げを担当し、現在は埼玉・川越を拠点に、中小企業の「マーケ担当1人目」を育てる内製化支援をしています。

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