早く知りたかった。マーケティング担当1人目が、最初の90日でやること

「マーケティングの担当になったけど、まずは何をやったらいいかわからない。」

そんな中小企業のマーケ担当者も多いのではないでしょうか。

私自身、上場企業でマーケティングの立ち上げをしたときに、どこから着手すべきか、本当にこれは成果が出るのか、そんな迷いや不安を抱きながら施策を実行していました。私も1人目でした。

大きい組織であっても、多忙を理由にチームの先輩が手取り足取り教えてくれることはほとんどありません。社外の研修を山ほど受けてみても、結局、現場では使えないノウハウだった、なんてことは自分自身もごまんと経験しています。

にもかかわらず、適切なマニュアルもどこにもない。

途方に暮れる気持ち、痛いほどよくわかります。

そして、当時の私が何をやったかというと、広告の改善でした。数字がすぐ動くし、自分の腕でどうにかできる領域だからです。実際、リード獲得の数はかなり増えました。

でも、売上には、なかなかつながりませんでした。

これが、私が最初につまずいた場所です。そして、これを書いている今、いろいろな会社の1人目の方と話していて思うのは、ほとんど全員が同じ場所でつまずいているということです。

リードは増えている。上にも報告できる。なのに、営業から「最近の問い合わせ、なんか違うんだよね」と言われる。あるいは、何も言われないまま、売上のグラフだけが動かない。

だからこの記事は、「正しいマーケティングの教科書」ではありません。あの頃の自分に、最初の90日で何をやれと言いたいかを書いたものです。


結論から書きます。90日でやることは3つだけです。

  • 最初の30日:顧客が「どこから来たか」を記録し始める
  • 次の30日:なぜ選ばれているかを、営業から取ってくる
  • 最後の30日:短期と長期の2本立てを決めて、KPIを分ける

新しい施策を増やすのは、この90日が終わってからで間に合います。むしろ、この3つを飛ばして施策から入ると、リードだけが増えて売上が動かない、あの場所に戻ってきます。私がそうでした。


目次

なぜ「何から手をつけるか」が分からないのか

先に、あなたのせいではない、という話をさせてください。

「何から」が分からないのは、あなたの勉強不足ではありません。

私の場合、社内にマーケティング経験者がまったくいなかったわけではありません。役員に経験者がいました。それでも、何から手をつけるべきかは分かりませんでした。

理由は単純で、経験者が社内にいることと、日々の手順を教えてもらえることは、まったく別だからです。役員は忙しい。そして役員が持っているのは「判断」であって、「今週何をやるか」の手順書ではありません。相談すれば答えてはくれます。でも、何を相談すればいいのかが分からないのが、1人目の最初の数ヶ月です。

もうひとつ。研修やセミナーは山ほどあるのに、「最初の90日で何をやるか」を教えてくれるものは、ほとんどありません。 研修が売っているのは知識で、あなたが必要としているのは順番だからです。

そう、問題は選択肢が多いことではありません。順番が決まっていないことです。

そして、順番を間違えると何が起きるか。冒頭に書いたとおりです。一番動かしやすい数字(リード数)から手をつけて、一番大事な数字(売上)が動かない。

以下の3ステップは、その事故を防ぐための順番です。


Day 0-30:顧客が「どこから来たか」を記録し始める

リードが増えても売上が増えないとき、犯人はここにいる

最初の30日でやることは、新しい集客ではありません。今来ている人が、どこから来たのかを記録し始めることです。

地味です。今月の数字には1ミリも貢献しません。

でも、私が広告でリードを増やしながら売上につなげられなかった原因は、結局ここでした。リードが「何件来たか」は見ていたのに、そのリードが「どこから来て、その後どうなったか」を見ていなかったんです。

チャネルごとに、リードの質は全然違います。広告から来た人、検索から来た人、紹介で来た人、セミナーに来た人。同じ1件でも、売上になる確率が違う。 それを分けて見ていなければ、「リードを増やす」は「売上になりにくいリードを増やす」になり得ます。実際、私はそれをやっていました。

これを整えて、何が変わったか。

チャネル別に見られるようになりました。 どのチャネルから来た人が、商談になり、受注になっているのか。ROIをチャネル単位で計算できるようになった、ということです。

そしてもうひとつ、思っていた以上に大きかった効果があります。

追いかけられるようになりました。 メールマーケティングやセミナーの案内を、「過去に接点があった人」に対して打てるようになった。それまでは、リードは獲得した瞬間に営業へ渡って、それきりでした。手元に何も残っていなかったんです。

リストは、今月のためではなく、来月以降のために作ります。

なぜ誰もやらないのか

ここまで書けば、重要性は伝わると思います。でも、ほとんどの会社でこれは放置されています。

担当者がサボっているからではありません。

この作業が、今月の数字に1円も跳ねないからです。

今月のリード数にも、今月の売上にも貢献しない。だから毎月、「来月やろう」に回される。評価されない仕事だから、誰も手をつけない。マーケターですら、やりません。 彼らも今月の数字に追われているからです。

つまりこれは、意識の問題ではなく構造の問題です。そして構造の問題は、気合いでは解決しません。順番を先に決めて、最初の30日に置いてしまうのが唯一の解き方です。

記録する項目

先に項目を決めてください。集めてから考えると、必ずやり直しになります。

私が実際に持っておいてよかったと思うのは、この5つです。

  • 獲得チャネル(どこから来たか)← 最重要
  • 年商
  • 従業員数
  • 興味を持ったサービス
  • 担当者の役職

BtoBなら、年商・従業員数・役職は必ず入れてください。「どんな会社が優良顧客になるのか」を後から検証できるのは、この3つがあるときだけです。冒頭の「リードは増えたが売上にならない」を解くのは、最終的にこの検証です。数を増やす前に、誰が買っているのかを知る。

そして、後から「これも要った」と痛感したのが、もうひとつあります。

商談の記録です。

SFAっぽくなってしまうのですが、商談がどう進んで、なぜ失注したのかが残っていないと、リストは「連絡先の一覧」で止まります。マーケティングが本当に知りたいのは受注した理由よりむしろ失注した理由なので、ここが空だと、いつまでも推測で施策を打つことになります。

実際にやると、ここで詰まります

きれいごとを書いても仕方ないので、詰まる場所を先に書いておきます。私が全部詰まりました。

1. 名寄せが、とにかく難しい

同じ会社が「株式会社◯◯」「(株)◯◯」「◯◯」で3件入っている。担当者が違えば別レコードなのか、同じ会社としてまとめるのか。正解はありません。先にルールを決めて、決めたことをメモに残してください。決めずに始めると、3ヶ月後に自分が判断に迷います。

2. 登録のルールが人によって違う

誰が・いつ・どの状態で登録するのか。ここが曖昧だと、データはすぐに汚れます。

3. 「どこから取得したか」が、後から分からなくなる

これが最大の落とし穴です。獲得チャネルは、後から絶対に埋められません。 名前も会社名も後から調べられますが、「この人がどこから来たか」だけは、その瞬間に記録しなければ永久に失われます。

だから最初の30日にやるんです。過去を遡って完璧にするのは諦めていい。今日から来る人の記録を始めるだけで、90日後には3ヶ月分のデータが手に入ります。

⚠️ ツールの導入から入らないでください

最後にひとつ、強めに言っておきます。

私も最終的にはHubSpotを導入しました。ツールは必要です。ただし、それは順番の最後です。

1人目がいきなりツール選定から入ると、こうなります。

  • 価格が高い(1人目の会社に、その予算がある前提で話が進む)
  • 教育コストがかかる(自分が覚えるだけでなく、営業にも使ってもらう必要がある)
  • リソースを食う(設定・データ移行・運用ルール策定。全部あなたの仕事です)
  • 社内決裁が大変(そして、その稟議を通すために、あなたはまた資料を作ることになります)

導入そのものが悪いのではありません。「何を記録すべきか」が決まっていない状態で入れると、高機能な空箱を買うことになるのが問題です。

まずはスプレッドシートで構いません。項目が決まっていて、1箇所にまとまっていて、獲得チャネルが埋まっている。それはもう立派な顧客リストです。ツールは、運用が回り始めて、「今のやり方だとここが限界だ」と具体的に言えるようになってから入れてください。そのときには、稟議も通りやすくなっています。困っている事実が手元にあるからです。


Day 31-60:なぜ選ばれているかを、営業から取ってくる

価値を研ぎ澄ませないと、リードは増えても売れない

30日で「誰が来ているか」が見え始めたら、次は「なぜうちが選ばれているのか」です。

マーケティングの世界では、これをUSP(Unique Selling Proposition=他社にはない、あなたならではの強み)と呼びます。ジェイ・エイブラハムが提唱した考え方で、私自身、もっとも基本としている教えです。

USPなくして商品を販売するのは至難の業、というのは、考えてみれば分かります。他社より質が悪く、値段が高い商品を買う理由はありません。当然、売れません。

USPというのは、一種の切り口です。「質」で勝つのか、「価格」で勝つのか、「利便性」で勝つのか。どこで勝負するかはさておき、あなたの強みを明確にしないことには、誰もあなたの商品を買おうとはしません。

そして、冒頭の話に戻ります。リードが増えても売上にならないとき、原因は集客の量ではなく、伝えている価値が、買う人の判断基準とズレていることがあります。ここを研ぎ澄ませないまま量を増やすのは、穴の空いたバケツに水を足す作業です。

会議室で考えないでください

ここで多くの1人目が、会議室にこもります。競合サイトを並べて比較表を作り、自社の強みを付箋に書き出し、3時間の議論の末に「品質と対応力」という、誰も買わない言葉にたどり着きます。

やめてください。答えは社内の別の場所にあります。

あなたの会社の営業パーソンです。 もっと言うと、もっとも売っている人が、もっともUSPを理解しています。

理由は単純で、彼らは毎週、実際にお金を払った人から「なぜあなたから買ったのか」を聞いているからです。会議室の推測と、現場で契約した事実。どちらが正しいかは比べるまでもありません。

マーケティングとは、営業を効率化する手段にすぎません。

つまり、マーケティングの原点は「営業」なのです。

営業視点でマーケティングを考えるためには、トップ営業パーソンの意見を汲み取るのが一番の近道です。USPなくして商品は売れません。逆もまた然りで、商品をもっとも売る人は、USPを必ず顧客に提示しているはずなのです。本人がUSPという言葉を知らなくても、です。

中小企業では、トップ営業はたいてい社長です

これは支援先で毎回感じることなので、書いておきます。

中小企業において、社内で一番売っている人は、ほとんどの場合、代表です。

創業から売り続けてきた人なので当然ですし、そして多くの場合、その人の頭の中にあるUSPは、一度も言語化されていません。 会社案内にもサイトにも書いていない。本人にとっては当たり前すぎて、強みだと思っていないからです。

つまり、あなたが最初の30分でやるべきことは、社長のアポを取ることです。

新しい施策の提案でもなく、予算の相談でもなく、「なぜお客さんはうちを選んでいるんですか」を聞くためのアポです。1人目のマーケターが社長に時間をもらう理由として、これ以上まっとうなものはありません。

何を聞くか(3つだけ)

ジェイ・エイブラハムの診断項目から、私が実際に使っている3つを挙げます。

① 最初、お客さんはなぜうちから買ったんですか?

② 今、お客さんはなぜうちから買っているんですか?

この2つは必ずセットで聞いてください。①と②の答えがズレていたら、そのズレの中に、今のUSPがあります。 創業時の強みと、今選ばれている理由は、たいてい違います。そして会社の公式な説明文は、たいてい①のまま止まっています。

③ 競合が提供していて、うちが提供していないものは何ですか?

弱点を確認する質問に見えますが、違います。もっとも売る人は、その弱点を毎回どうやって乗り越えているかを知っています。その乗り越え方が、そのままUSPの言い方になります。

返ってくる答えは、たぶん想定と違います

私が支援先で聞いてきた限り、BtoBで実際に選ばれている理由は、こちらの想定とかなりズレます。

こちらは「機能」や「品質」で勝っていると思っている。ところが現場で決め手になっているのは、こういうものです。

  • 決裁が通しやすいこと(担当者が社内を説得できる材料があるか)
  • 会社の規模が合っていること(社員数・年商が近い導入事例があるか)
  • 導入がラクなこと(乗り換えの手間、既存業務を止めなくて済むか)
  • セキュリティ要件を満たしていること(大手が相手なら、ここで落ちる)

並べてみると分かりますが、どれも「商品が優れているか」ではなく「導入の障壁が低いか」の話です。買う人は、良いものを選んでいるのではなく、社内で通せるものを選んでいるんです。

これが分かると、打ち手が変わります。私の場合、ターゲットと訴求の内容を変えました。 誰に向けて出すか、そこで何を言うかを、機能の説明から「導入の障壁が低いこと」の説明に寄せた、ということです。

同じ広告費でも、これで結果は変わります。リードの数ではなく、リードの中身が変わるからです。

「聞きに行けない」のは、プライドの問題ではない

正直に書きます。私自身、新規事業の立ち上げでは、これがほとんどできていませんでした。

理由は、営業に頭を下げたくなかったから、ではありません。

自分の理解が追いついていないと、話についていけないからです。

商材のことがまだ分かっていない状態で営業に話を聞くと、返ってくる言葉の半分くらいが、意味の分からない業界用語と、社内でしか通じない略語です。分かったふりで相槌を打って、席に戻ってメモを見返すと、何も残っていない。あの気まずさが嫌で、足が遠のく。

そして人は、こう考えます。「もう少し勉強してから、ちゃんと聞きに行こう」と。

これが罠です。その「もう少し」は永遠に来ません。 商材の理解は、机の上ではなく、売っている人の話を聞くことでしか進まないからです。順番が逆になっています。

だから、分からないまま行ってください。 そして、分からなかった言葉をその場で聞いてください。「今の、どういう意味ですか」と聞ける相手は、社内にしかいません。お客さんの前では聞けません。

1人目が商材を分かっていないのは、能力の問題ではなく、単にまだ日が浅いからです。これも構造の問題であって、あなたの問題ではありません。

この30日のゴールは1つです。「なぜ選ばれているか」を、自分の言葉で言えるようになること。 資料は要りません。言えれば、次の30日で使えます。


Day 61-90:短期と長期の2本立てを決めて、KPIを分ける

1つに絞る。ただし、2本目を必ず仕込む

マーケティングの基本は「集客」だと私は考えています。

SNSをやるべきか、広告をやるべきか、それともSEO(AEO)をやるべきか。1人目が最初に悩むのは、たいていここです。

結論から言うと、まず1つに絞ってください。 リソースは有限です。1人しかいない担当者が3つの施策を同時に立ち上げて、全部が中途半端になるのを何度も見てきました。

ただし、条件がひとつあります。

短期で刈り取る1本と、複利で効いてくる1本を、必ずセットで持つこと。

短期は、広告のように、お金を入れれば来月から数字が動くもの。長期は、SEO・AEOやコンテンツ、事例の蓄積のように、育つのに半年かかるかわりに、止めても消えないものです。

私が最初の会社でやり損ねたのが、まさにこれでした。広告は改善できたんです。数字も動きました。でも、中長期でどう伸ばすのかの設計を持っていませんでした。 だから、広告の改善が頭打ちになった瞬間に、打つ手がなくなった。

今の自分が当時の自分に言うとしたら、ここです。短期の改善に全部の時間を使うな。同時に、情報の発信量を増やしておけ。

なぜ2本目が必要か

「今は広告が当たっていて、リードがどんどん増えている。だからSEOはいらない」

これは、ある時期までは正しい判断です。実際、当たっている施策に集中するのは正解です。

問題は、その先です。

広告が当たっている間は、誰もSEOの話を聞きません。そして、当たらなくなってから相談が来ます。その時点で、SEOは半年遅れています。

短期施策の怖いところは、止まるときに予告がないことです。競合が入札を上げた、媒体のアルゴリズムが変わった、単価が上がった。理由はいろいろですが、共通しているのは「来月から効かなくなる」という形で来ることです。

そのとき、育っている2本目があるかどうかで、会社の数字の落ち方がまったく違います。

だから私は、支援しているクライアントには必ず複数の施策を持ってもらっています。最短でもっとも効果が出やすいものに目星をつけて実行しつつ、複利的に効果が伸びていく施策を、細くていいので同時に走らせる。 月に記事1本でも構いません。ゼロと1本のあいだには、1本と10本のあいだよりも大きな差があります。

KPIは、2本で別々に置く

ここが、90日の最後の山です。そして、あなた自身を守るための設計でもあります。

短期施策と長期施策に、同じKPIを当ててはいけません。

  • 短期(広告など)→ 問い合わせ件数・獲得単価。月次で見る
  • 長期(SEO/AEO・コンテンツなど)→ 検索での表示回数・指名検索の数・問い合わせの質四半期で見る

長期施策に「今月の問い合わせ件数」を当てると、3ヶ月目に必ず「効果が出ていないからやめよう」という話になります。

長期施策に短期のKPIを当てると、必ず途中で殺されます。

そして殺すのは、たいてい担当者ではありません。数字だけを見た上の人です。

だからこの90日目に、「この施策は、何を、いつまでに見るのか」を先に決めて、共有しておいてください。後から言うと言い訳になりますが、先に置いておけば設計になります。

そしてもうひとつ。Day 0-30で獲得チャネルを記録し始めているので、90日目にはチャネル別のデータが3ヶ月分たまっています。 「このチャネルは件数は少ないが商談化率が高い」といった話が、推測ではなく数字でできる。上の人と話すとき、これが一番効きます。

3つのステップが、ここでつながります。


90日で終わらない。本当の壁は「誰が続けるか」

ここまでの3つをやり切ると、90日後にはこうなっています。

  • 顧客がどこから来ているか、チャネル別に言える
  • なぜ選ばれているか、自分の言葉で言える
  • 来月から何の数字を見ればいいか、決まっている

土台としては十分です。ここから先は、施策を回していくフェーズに入ります。

ただ、正直に書いておきます。本当の壁は、91日目から始まります。

私は、その1人目の仕事を、最終的に辞めました。

成果が出なかったからではありません。しんどかったのは、一人で全部やっていると、発展していかないことでした。

日々の運用は回ります。数字も、改善しようと思えば改善できる。でも、やることは増える一方で、だんだん忙しくなっていくのに、自分が伸びている感じがしない。 新しいことを学ぶ時間も、試す余白もなくなっていく。成長が止まる気がしていたんです。

これは根性の問題ではありません。これも構造の問題です。1人でやれる範囲には上限があって、その上限に達したあと、忙しさだけが増えていく。判断を相談する相手も、作業を渡す相手もいないまま、目の前の運用に全部の時間を持っていかれる。

1人目のマーケターが辞めるのは、失敗するからではありません。忙しさだけが増えて、自分が伸びていないと感じるからです。

そして会社から見ると、これは最悪の失い方です。90日かけて土台を作り、社内の事情も商材も理解した人が、成果を出したあとに辞める。 次の1人目は、また同じ90日をゼロからやり直すことになります。

だから私は、内製化の支援をしています

外注は「やってもらう」ことです。内製化は「できるようになる」ことです。前者は、契約が終われば何も残りません。後者は、育てた人が残ります。

外注費は消える。育てた人は残る。

1人目の隣に、経験のある人間が座っている。全部やってもらうのではなく、判断を相談できて、手が足りないところだけ渡せる相手がいる。 それだけで、辞めなくていい人が辞めずに済むと、私は本気で思っています。

私が欲しかったのは、それでした。


まとめ:90日カレンダー

やること終わった状態
Day 0-30顧客が「どこから来たか」を記録し始めるチャネル別に、誰が来ているか言える
Day 31-60なぜ選ばれているかを営業(多くは社長)から取ってくる「なぜうちが選ばれるか」を自分の言葉で言える
Day 61-90短期1本+長期1本を決め、KPIを分ける来月から何を見ればいいかが決まっている

新しいことを始めるのは、この後で間に合います。

そして、もしこの記事を読んでいるのが「1人目を任命した側」の方なら、ひとつだけ。この90日を、1人でやらせないでください。 1人目が辞める理由は、たいてい成果ではありません。それだけで、定着率がまったく変わります。

よくある質問

マーケティング担当1人目は、最初の90日で何をやればいいですか?

3つだけです。最初の30日で、顧客がどこから来たかを記録し始める。次の30日で、なぜ選ばれているかを営業から取ってくる。最後の30日で、短期と長期の2本立てを決めてKPIを分ける。

新しい施策を増やすのは、この90日が終わってからで間に合います。この3つを飛ばして施策から入ると、リードだけが増えて売上が動かない状態に戻ってきます。

顧客リストには、何を記録すればいいですか?

獲得チャネル、年商、従業員数、興味を持ったサービス、担当者の役職の5つです。BtoBなら年商・従業員数・役職は必ず入れてください。どんな会社が優良顧客になるのかを後から検証できるのは、この3つがあるときだけです。

あわせて商談の記録も残します。なぜ失注したのかが残っていないと、リストは連絡先の一覧で止まります。

顧客管理ツールは、最初に導入すべきですか?

順番としては最後です。何を記録すべきかが決まっていない状態で入れると、高機能な空箱を買うことになります。

まずはスプレッドシートで構いません。項目が決まっていて、1箇所にまとまっていて、獲得チャネルが埋まっている。それはもう立派な顧客リストです。ツールは、運用が回り始めて限界が具体的に言えるようになってから入れてください。

自社が選ばれている理由は、どうやって知ればいいですか?

会議室で考えず、いちばん売っている営業に直接聞きます。中小企業では、トップ営業はたいてい社長です。

選ばれている理由は、作るものではなく、すでに現場にあるものを取ってくるものです。

営業には、何を聞けばいいですか?

3つです。最初、お客さんはなぜうちから買ったのか。今、お客さんはなぜうちから買っているのか。競合が提供していて、うちが提供していないものは何か。

最初の2つは必ずセットで聞きます。答えがズレていたら、そのズレの中に今のUSPがあります。創業時の強みと今選ばれている理由はたいてい違い、会社の公式な説明文は、たいてい創業時のまま止まっています。

リードは増えたのに、売上が増えないのはなぜですか?

数を増やす前に、誰が買っているのかを知らないまま施策を打っているからです。

獲得チャネルと会社属性が記録されていれば、どのチャネルからどんな会社が来て、どこで受注しているかを後から検証できます。記録がないと、いつまでも推測で施策を打つことになります。

短期施策と長期施策のKPIは、どう分ければいいですか?

別々に置きます。広告のような短期施策は、問い合わせ件数と獲得単価を月次で見ます。SEOやコンテンツのような長期施策は、検索での表示回数、指名検索の数、問い合わせの質を四半期で見ます。

長期施策に今月の問い合わせ件数を当てると、3ヶ月目に必ず「効果が出ていないからやめよう」という話になります。後から言うと言い訳になりますが、先に置いておけば設計になります。


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この記事を書いた人:齊藤彰一(Honomuki株式会社)。上場企業でマーケティングの1人目として立ち上げを担当し、現在は埼玉・川越を拠点に、中小企業の「マーケ担当1人目」を育てる内製化支援をしています。

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この記事を書いた人

Honomuki株式会社 代表。上場企業でマーケティングの1人目として立ち上げを担当し、現在は埼玉・川越を拠点に、中小企業の「マーケ担当1人目」を育てる内製化支援をしています。

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